ついつい何でも自分がやらなきゃならないと思い込み、そしてやり遂げてしまう、そんな日常に疲弊気味、ちょっとイライラしてしまったり……心当りのある人も多いと思います。女性は忙しいです。職歴を重ねるにつれ、仕事の幅が広がると同時に責任や負荷がかかってきます。家庭を持てば、仕事終わりの残り少ないパワーを振り絞って家事や育児に奮闘します。気分転換の趣味や友達とのランチでさえ、企画のためのリサーチ等で意外と時間やパワーを費やしてしまうことがあります。なかなか心の休まる瞬間はありませんね。
まず、自分にしかできない、自分でしたほうが早い、なんてことはないと気づきましょう。
“TO DO LIST”を作って、やることを数えても疲れるだけです。周りを見渡してみると、すぐそばに信頼に足る人がいるはずです。まずはあなたの抱えている仕事の一部をその人に任せてみることを考えましょう。上手く任せることができれば、倍の速度で仕事を処理することできるだけでなく、任せた相手の成長に繋がります。
任せる仕事にはワクワク感は必要
仕事を任せるにあたり、何を任せるかは熟慮する必要があります。単純だけれど手のかかる雑用だけを引き渡すことはお勧めしません。仕事には“ワクワク感”が必須だからです。相手が後輩ならばその人にとって少し難しい位の仕事を雑務と一緒に任せると良いでしょう。新しく任された仕事に対して“自分で考え、自分で決める”ことができるなら、任された本人は少し成長した手応えを感じ、ワクワクし、頑張れるはずです。
“いつも見守ってくれている”そんな安心感を与えられる存在になろう
仕事は丸投げせず、しっかりと内容を説明し、目指す方向性をよく話し合うことが大切です。スタートとゴールが決まれば、道筋は任せた相手に委ねるようにします。進捗状況はE-MAILを確認したり、電話で話している内容を小耳にはさみながら把握し、手出し口出ししたくても相談されるまでぐっと我慢。我慢が一番辛いかもしれませんが、でも我慢です。取り返しのつかない状況にならなければ、多少の失敗も仕方ありません。相手に責任を押し付けず、迷惑をかけた関係者に対して一緒に謝り、上手くいかなかった原因をレビューすればよいのです。一度仕事を任せたからには、“任せた相手を絶対に孤独にしない”。どこかで見ていてくれる、という安心感があれば、後輩は伸び伸びと仕事に向き合うことが出来ます。もちろん、成功すれば良かったポイントを具体的に挙げて思い切り褒めましょう。
私の経験を少し
まだ、私がイメージコンサルタントのスクールに通っていた頃、私のお世話になった先生は折を見て自身の開催するセミナーのアシスタントとして生徒を参加させました。先生のパフォーマンス、立ち居振る舞いを惜しみなく生徒達に見せ、セミナーのknow howを言葉ではなく形で教えてくれました。そして時には生徒に時間を渡し、セミナーをさせてくれました。生徒だった私達は毎日のように集まり、セミナーの内容、構成を話し合い、練習を重ねたものです。私達の行うセミナーの総責任は先生です。ですから、相談すれば真剣に答えてくれましたし、最終チェックもしてくれました。でも、先生からの差し出がましい指図はありませんでした。その代り、私達のセミナーが終わると、先生の話の中にはフォローとなるような言葉が上手く散りばめられていたようです。
そして、私自身がアシスタントとしてクラスに入り、逆の立場となりました。テーマ、内容、構成等、口を出したいアイデアはありましたが、我慢です。なぜなら大切なのは生徒自身が“気付く” ことだとわかったからです。時として表現方法やパフォーマンスを生徒から学び、私自身次のアイデアが浮かぶこともありました。指導される側から指導する側となり、両方の立場がわかり、そして指導する側も教えられることが沢山あることに気付きました。
自分の負担を軽くするために仕事を他に任せることは、逆に負担がかかり、回り道になると感じるかもしれません。でも、そのことによって任せた相手の能力は成長し、自信へと繋がります。チーム全体の仕事処理スピードも上がります。そして何より、実は指導したあなた自身も、理解が深まり、事象を新しい視点から見る能力が身に付き、人としての引き出しが増えるという嬉しい効果があるのです。また、空いたスペースで新しいことに挑戦することができるかもしれません。年度末に向けて、対峙する膨大な仕事にため息をつきたくなりますが、“任せる”という選択肢を考えてみてはいかがでしょうか?