“相手に失礼がないように、社会人としてきちんと敬語を使わなければ!”という気持ちはとても大切なこと。
でも、“丁寧に丁寧に”を意識しすぎて、過剰敬語になっていませんか?
敬語をたくさん使えば敬意の気持ちが強く伝わる、というものではありません。
敬語の盛りすぎによって内容が伝わりにくくなることや、聞いている側に違和感を与えてしまうことも……。そこで今回は、ビジネスマナー講師の西谷依里子さんに、二重敬語のOK・NG例をご紹介いただきました。
わかりにくく、違和感を与える二重敬語
尊敬語には、いくつか形があります。
パターン1:「お(ご)~になる」(例)読む→お読みになる
パターン2:「~(ら)れる」(例)読む→読まれる
パターン3:表現が変化する形(例)言う→おっしゃる
たとえば、“読む”はパターン1でも2でもどちらの形を使ってもOKです。使う動詞やシチュエーションによって形を使い分けましょう。
ただし、2つ以上の形を組み合わせるのは過剰な表現となり、NG。パターン1と2を組み合わせて「お読みになられる」は二重敬語になります。
たとえば、下記の4つの例。すべて二重敬語となり、NGな言葉遣いです。
・「メニューをご覧になられますか」
・「社長がおっしゃられた通り・・・・・・」
・「○○様はお帰りになられました」
・「お聞きになられていると思いますが・・・・・・」
敬語は「シンプルにわかりやすく」が基本
・「メニューをご覧になられますか」→「メニューをご覧になりますか」
・「社長がおっしゃられた通り……」→「社長がおっしゃった通り……」
・「○○様はお帰りになられました」→「○○様はお帰りになりました」
・「お聞きになられていると思いますが……」→「お聞きになったと思いますが……」
などのように敬語の形をひとつにすると、とてもわかりやすい内容になります。
同じく謙譲語の場合も必要以上に使いすぎたり、へりくだり過ぎたりするのもよそよそしい印象になるため、気を付けましょう。何事もバランスが大切ですね!
二重敬語でも使ってOK?許容とされている言葉
「○○様はなにをお召し上がりになりますか」
よく耳にするこちらの文章も、実は二重敬語。
「お召し上がりになる」は、「食べる」を尊敬語「召し上がる」に換え、さらに「お(ご)~になる」をプラスしていますね。
“シンプルに、わかりやすく”が基本ですので、本来「召し上がる」だけで敬語は完成されています。
しかし、「お召し上がりになる」は習慣として多くの方に定着しているため、一般的には許容とされている言葉になります(さらに過剰敬語になった「お召し上がりになられる」はNGです)。
このように二重敬語であっても、習慣として許容とされている言葉はほかにもあります。
尊敬語:お召し上がりになる、お見えになる
謙譲語:お伺いする、お伺いいたす、お伺い申し上げる
二重敬語でも例外があることを覚えておきましょう。
こうしてみると、意外と普段使っていた言葉遣いもあったのではないでしょうか? 敬語はムダをなくすことですっきりまとまります。それだけで、話す内容も相手に伝わりやすくなりますよ!